2009年 03月 02日
「本を読むにしろ、映画/演劇を観るにしろ、それは自分とは違う生き方をした人間の人生をトレースする行為に他ならない」と言った人がいましたが、そういう意味ではこの映画はまさしくそうです。 「フォレスト・ガンプ」にも似たテーマを持ってはいるものの、もっとずっと静かにストーリーは展開します。まるでフランス映画。ちょうどフランス人監督がアメリカで撮った作品のよう。 デビッド・フィンチャー監督作品ってことで暗い色調は予想できたんだけれども、同監督によるものとは思えない静かでエレガントな印象は予想外。なかなかにシブいところを突いてきています。そのへんは長年フィンチャー作品で照明を担当していたクラウディオ・ミランダによるところが大きいのかも知れないけれど(「エネミー・オブ・アメリカ」での彼の照明は素晴らしかった)。 ブラピの演技はホリエ好みなのでこの際横に置いておくとして、この作品ではケイト・ブランシェットがすごいです(笑) 今まで「エリザベス」のエリザベス一世、「ロード・オブ・ザ・リング」のガラドリエル、「インディ・ジョーンズ」のナチス将校なんて結構迫力のある役が多かったので「ちょっとコワいオネェさん」な印象が強かったんですが、今回は打って変わって感情を割と表に出す役どころ。 それも20代からヨボヨボのおバァちゃんまで。その年齢の移り変わりの中でも本人の性格に揺らぎがない、というところを確実にこなしてます。実年齢はホリエと同い年の1969年生まれ。すごいねぇ。彼女はこういう役の方が活きる気がしますがどうでしょうか? それにビジュアル面ではケイト・ブランシェットを始め、さまざまな人々を限りなく魅力的に観せるのはCMやPVを数多く手がけてきた監督ならでは。どこのシーンをとってもホンマにCMのようです。予告編作りやすかったんちゃうかなぁ(笑)前述したようにエレガントで美しい、抑えた色調の映像が続きます。 とかくこういう作品ってちょっと長い(これも160分以上あるからね)ので敬遠しがちやけれども、「他人の人生を追体験する」っていう意味ではしかたがないかな。 もちろん、ワキもタラジ・P・ヘンソンやジュリア・オーモンド、ジェイソン・フレミング(若干イギリス勢に偏ってるかな?)なんて舞台でも映画でも通用するお達者なメンバーが固め、観ててちゃんと入り込めるというか不安を感じることがない感じ。 画の美しさや説得力を考えると劇場で観てほしい作品です。
by radi-spa.horie
| 2009-03-02 23:59
| 映画&舞台他
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