follow me > radispa

radispa.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2013年 10月 15日

同業同種の悩み

同業同種の悩み_c0057602_0222510.jpg

今日はいわばクライアントさんとの打ち合わせだったのだが、クライアントを同じくし仕事の内容が重なるいわば「同業の先輩」にあたる方も同席で。
その方とは同じお仕事の関係でデータやメールのやり取りをさせてもらっているのだが、淡々と仕事をこなし、ちゃんと「仕事」にしておられる方、という印象。
ホリエの悩んでいるようなことなんてサラリとかわし、さっさと事を進められるのだろうなぁ、と思っていた。
いや「思っていた」というとそうじゃなかった印象だが、そうではなくて「同じ事」で悩んでおられるのだ。

詳細は色々問題があるので書けないが、いわゆる「表現手段」を職業にしてしまった我々には、それを「ソフトウェア」としてしか見ていない一般の方にはわかってもらえない悩みがある。
「ソフトウェア」というアウトプットを吐き出すまでの産みの苦しみや、その手段・方法の複雑さは普通、それを職業にしている人間以外が知る必要のない(もしくは知るべきでない)ものだが、「生み出される現場に若干触れることになった」だけの人にその労苦や価値を理解してもらうのは非常に難しい。

例えばホリエの場合、チラシやポストカード、名刺などのデザインを「得意分野」(という言い方も卑怯ではある・笑)としているが、一番ヒドい例ではイベントのタイトル以外まだなにも内容が決まっていない状態で「タイトルでひらめいたデザインを5つ6つ提案して欲しい」というものだった。
文字通り「何も決まっていない」のにである。
「特に裏面なんかは文章の構成も大事になってくるので、せめてなにがしかの内容が決まって文字情報がある程度出てからお手伝いしたい」とお伝えしたが、相手は渋々手を下ろした状態だった。
後日「大体こんな内容のイベントで、ここに○○文字ぐらいの文章を入れる」というメールが届き(まだその時点でイベントの開催日が決定していなかった)ラフデザインが欲しいとのことだったので、いくつかの大まかなデザインを提案させてもらった。
とすぐに返信。「もっと完成に近いものでないと判断できない」とのこと。
別に落書きをスキャンして送ったつもりはなかったが、要は「ラフ」ではダメだったらしい。
ホリエの仕事のやり方として「ラフは作らない」。
ラフデザインを求められたとしてもある程度作り込んだものを使って提案する。
なので当然ある程度の労力を伴う。
それは提出したものを見てもらったら一目瞭然のはずだ。
だがそのクライアントは「上司に説明する時に自分が内容を把握できていないと説明できない」と言われる。
なので「ここはこうなっていてこう書いてあるから内容はわかっていただけると思います。ここにはこういう写真が入りますということで仮に似た印象の写真を当て込んでありますので…」と説明すると「ああ、ここに書いてあったんだ。じゃあ大丈夫だね」だとおっしゃる。
要はお送りした「ラフデザイン」をざっと眺めただけで返信してこられたようだった。
で続けて「じゃあこれで上には説明しておくからあといくつか作ってみてよ」と。
それにはさすがに「すいません、今提案させてもらっている案で問題があった時でいいですか?」とやんわりとお断りしたが。
その後、提案したデザインの中で決まったものの肝心のイベントのタイトルが変わる。
「イベントのタイトルが変わったから、同じ感じでいいから全体のイメージ変えてよ」
もうすでに日本語ではなくなる始末(笑)
イベントのタイトルに限らず、画面の中で大きな割合を占めている文字情報が変わった場合、いわずもがな全体のレイアウトも変わらざるをえない。言われなくても全体のイメージがゴロッと変わってしまうのだ。
よく聞く話だが「ここの文字が変わったので変更お願いします。文字の変更だけだからすぐできますよね」なんて本気で言う営業担当者がいるのだ。
イラストのレイアウトにせよ、文字にせよ、たとえそのサイズを変えるだけで大きく印象が変わり、必然的に周りのデザインにも少なからず影響する。
意外とそこも理解してもらいにくいようだ。

その同業の先輩の悩みはもっと深いが、お話しさせてもらって「ああ、イタいところは同じなんだな」と思えただけでも救われた気はした。
そんな制作者のグチを思いがけず聞かされたクライアントがずいぶんと居づらそうにされていたのが印象的だった(笑)

後日談。
件のイベントチラシは大きなスポンサーが抜け予算が厳しくなったのでクライアント側で作る、ということになった。つまり全部ボツ。
その後目にしたチラシはWordでクリップアートをゴテゴテと貼り込んだ原稿をコピーしたスゴイものだった。
もちろん1円もいただいていない。何度か打ち合わせに出向いた交通費だけが経費として出て行ったきりだ(笑)


"Cut Me Down" by Lloyd Cole and The Commotions

by radi-spa.horie | 2013-10-15 00:21 | 仕事


<< Backstreet Boys...      所有欲のハナシ >>