2016年 12月 05日

死んだライナーノーツ

c0057602_23251827.jpgちょっと前によく似た面白いハナシが間を空けずにネットで取り沙汰されててね。

でも、よく考えると「面白い」とも言ってられない気がしてね。


ご存知の方も多いと思いますが、若者に人気のバンドSEKAI NO OWARI(以下セカオワ)を老舗オジさんテクノユニット電気グルーヴがパクってるって話題が世間を騒がせたのはつい最近。


「ん?」って思いません?


なんかセカオワのファンがどこかで電気グルーヴのとある楽曲を耳にしたらしく「なんだよこれ、オレたちのセカオワにテイストそっくりじゃん。誰だよこのオッさん達。パクりじゃねぇの?」って思ったみたい。

個人的には「似てるかなぁ」って思うんだけど、電気グルーヴの志向が最近変わった(んなわけあるかい・笑)わけじゃなければ「似てる」のはセカオワの方ってことになる。


ただね、それを仲間うちで話してるだけならよかったんだろうけど、いきなりSNSで全世界に向けて発信しちゃったもんだから大騒ぎに。今の時代はコワイねぇ。

まあこの件は電気グルーヴのファンが「25年前からパクってたのがバレたか」「それはセカオワに失礼だろ」なんて返しで笑える大人の対応をしたので事なきを得たんだけれど。

ま、「セカオワに似てる」といわれた楽曲を改めて聴きましたが「似てるか~?」って感じでしたが(笑)


そのちょっと前にこれまた若者に人気の新進バンドONE OK ROCK(以下ワンオク)の「To Feel The Fire」を缶コーヒーのFIRECMでどこの馬の骨だかわからないスティービー・ワンダーなる黒人のオッさんがカヴァーしてるって騒ぎになった(笑)

ワンオクファン曰く「どうせ使うならカヴァーじゃなくワンオクのを」「誰だよこのオッさん」だってんだもんね。


そんなもの、ライナーノーツ(それ自体がなくなりつつあるし、ダウンロードで買ってりゃないわな)やちゃんとした音楽誌読んだらわかるよ。

若いコはそういう欲がなくなっちゃたのかなぁ。音楽として「聴く」ことよりもカルチャーとしてはたまたファッションとして「身につける」ことがよくなっちゃたんだろうかねぇ。

音楽自体に関して詳しいヤツは「オタク」って呼ばれちゃうんだろうか。

何がびっくりしたってこの前若いコとしゃべってて「ライナーノーツみたいにさぁ」「ライナーノーツって何ですか?」みたいなことになったのよ。

存在自体を知らないわけ。そりゃダメだわ。「じゃあアーティストの情報って何で仕入れてるの?」って訊いたら「WikipediaとかTwitterですかねぇ」って。やっぱしか。それ「事実の羅列」や「アーティストサイドからの情報発信」じゃん。


これね、ただ「バカな若いコ」ってだけで片付けられない(もちろんそれもあるけど・笑)気がするんですよ、奥さん。

考えてみたらね、今の若いコたち(に限らんか)って音源はデータでネットから買うか、CD買うにしてもすぐに携帯端末に放り込んで聴くわけじゃない。「モノ」はいらない状態なのよね。

ホリエ世代はアナログレコードとCDの端境の過渡期で両方を知ってて、アナログは不便だのデジタルは音が冷たいだの「所有してる音源」に関しての論争があったわけ。もういいトシなんだから知ってるでしょ?奥さん。あの頃ってまぁもちろんレンタルレコードとかあったけどやっぱりまだまだ「所有する」文化だったと思うのよ。

それが「所有しない」文化になって何が変わったかっていうと「ライナーノーツ」もそのひとつだとだと思うわけ。


ライナーノーツ、知ってますよね。アナログレコード時代の歌詞カードには必ずペラ1ぐらいは入ってたあの紙。特に洋楽には歌詞の日本語訳にくっついたりしてて。

音楽に詳しい文化人や音楽ジャーナリストと呼ばれる人、はたまたそのミュージシャンをよく知るミュージシャンが楽曲やアーティストの人となりや歴史を解説した、いわば「解説書」。渋谷陽一さんとかピーター・バラカンさんとかね。懐かしいなぁ。

アナログレコード時代はもちろん、CDになってからも初期の頃はちゃんと入ってたあの紙を舐めるように読んだなぁ。そのアーティストのバックボーンにある様々を先人から教えてもらいました。「そうかあのリズムの感じはそんなミュージシャンから影響受けてんだな」とか「あのギターの音作りは」みたいなね。

で、そのルーツになった音源を聴いてみたくなってバイト代の多くをそれに注ぎ込んだりしてました。その中には間違った情報や、筆者個人の思い入れも多分にあったけど(笑)

そういう意味では今は「そのアーティストのことを第三者から教えてもらう」機会がグンと減ったと思うんです。この「第三者から」っていうのが大事じゃない?奥さん。アーティストサイドが発信する情報ならオフィシャルサイトでも見ればいいわけなんだけれど、それはそこ、他人から見たイメージや情報なんて載せてないじゃない。あんなの見てもアーティストサイドが発信したいことしか入ってこないもんね。

エヴァじゃないけど「他人から見た自分」っていうのは大事。でそれは本人からは絶対に提供されない情報。だからこそ第三者が思い入れたっぷりに語るライナーノーツが必要だと思うわけ。かく言うホリエも思い入れたっぷりに語っちゃってるけど(笑)


最近の音楽誌も一部を除いてはもはやレコード会社や芸能事務所の宣伝媒体に成り下がっちゃっててね。もう音楽情報の発信源としては弱い。アーティストの繰り出す「音源」に対して辛辣なことなんて言ってないものね。

そんな環境の中アーティストに関しての「他人からの情報」を手にするのはもはや無理があるのかもしれない。


一億総オタクだったあの頃を懐かしんでもしかたがないのかもしれないけれど、せめて自分の好きなアーティストに関してぐらいいろんな情報・意見を仕入れて詳しくなってほしいねぇ。表面的なファッションに終わらせずにさ。お願い。



"Harvest Moon" by Neil Young



by radi-spa.horie | 2016-12-05 23:25 | 音楽 | Comments(2)
Commented by marurin373 at 2016-12-09 00:36
私は十字屋で「ジャケ買い」がしたかった、高校時代を送ってました。スネーク・マン・ショーの、新しいのやら。
「タモリ」のCD聴いてたから、お昼の番組の司会に決まった時は、なんかがっかりしました。
たかしは「平泉」にタモリが行く、という次週予告を見て「みうらじゅんが、こないだ行ってたやん」て言うてました。ま、保育園の頃、寝る前に読み聞かせしていた本が「伝染るんです。」で、毎晩「もっと、かわうそさん、よんでぇ〜」と、せがまれていました。サブカルっ子の、たかしくんです。

Commented by radi-spa.horie at 2016-12-12 00:04
えらい早いうちからサブカルの洗礼受けてはったんですねぇ。


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