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2017年 07月 07日

裏切り続ける仕事

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知ってる人は知ってると思うけれど、ホリエは紙媒体のデザインをやらせていただいてる一方、イベントや演劇の音響もお仕事としていただいてるんですが、そんな中で求められることが多いのが「曲の編集」。
はい、もひとつピンときませんね。わかります。

いや例えばね、イベントなんかで流行りのドラマ主題歌をリップシンク、いわゆる口パクでパフォーマンスするなんて際「これ丸々やると長いよねぇ」なんて時に「主題歌で流してる長さのないの?」なんて気軽めに言われることは日常的にあってね。
でもないんですよ、フツーそんなの。
まぁ仕事がら、たまーにアニソンなんかで「TVサイズ」なんてのが手に入ることはあっても、一般に出回る音源でそんなの収録されてることなんてまずない。
そうなるとどうするかっていうと「造る」って作業になるわけで。
イントロを短くして、2コーラスめを抜いて、最後のリフレインを1回にして、フェードアウトしてるアウトロをカットアウトにして…。

編集というよりは改造。

切り貼りした端境を自然に繋いで、イベントでパッと聴かされたぐらいでは不自然さがわからないレベルに。

そんな例はイベントだけじゃなく演劇にもよくあるハナシでね。
「この曲の雰囲気でここの芝居を見せたい」なんて場合、オーダーしてそれ用に作ったり(そんなお金かかることできる劇団なんてなかなかないし)、曲の尺に合わせて芝居の進行を組み立てたりするんじゃなければ、曲と芝居の尺が合うなんてことほぼない。

じゃあどうするかっていうと件の「改造」が必要になってくるわけでね。
「この曲のここからここまでの部分で5分になりませんか?」ってあなたそれ1分20秒しかないじゃないの、なんてことザラでね。
それも作った「改造曲」でリハーサルしてみると「あー、芝居がノっちゃうともうちょっと尺欲しいなぁ」なんてこともよくあってね。今関わってる現場なんかだと同じ曲を4回も改造したりなんかしてますが。
はいそこのあなた、「そんなの、どうせ改造するなら最初から長めにしとけよ」って思ったでしょ?

あなたは甘い!

曲構成が比較的はっきりしてる歌モノの曲は間奏を伸ばしたりリフレインを偶数回(ここ大事)増やしたりすればある程度格好はつくけれど、芝居にあてる曲なんてほとんどの場合がいわゆる器楽曲でなんかの映画のサントラからひっぱってきたりクラシック曲だったりするので同じフレーズの部分でも楽器構成が違ってたりビミョーにテンポが違ってたりして、単純に切って繋ぐとそりゃもうすごい違和感なわけで。それまで聞こえてたバイオリンの余韻をぶった切って突然チェロがゆっくりめに主旋律弾きだしたらそらおかしいですわな。
そういう事例を避けて無難に繋げる部分を探して長さを出すには限界がある。
大体の場合、10秒〜20秒。よくて30秒伸びたらいいところ。

それでも演出家って人種の人たちは伸ばした音源でリハーサルして「あと15秒からできたら30秒欲しいね〜」なんて誰にともなくボソッと言ったりできる人たち(そこ演出家としては一番必要みたい・笑)なので、そうなるとバイオリンが主旋律を担当してる部分を何回か増やして、チェロが主旋律を担当してる部分のパッセージの早さに徐々に近くなるように(不自然じゃない程度に)調整して、繋ぐ前の部分をフェードアウトに後ろの部分をフェードインにした音源をうまくメロディが重なる部分で合成、必要なら音量的に抑揚をつけて…。
もうなんだか細かく説明すればするほど説明としてわかりにくくなる始末。

ま、やれるんですが(笑)
何百という曲を改造してきたキャリアもありますし。
ただ、デザインもそうですが「5分で作るには5年のキャリアが必要」なんて揶揄されるのと同じく、色んな曲を色んな苦労を経てやってきてるから短い時間で可能なわけでね。

いや、今回はそこのグチじゃなくて(笑)
「こんな苦労をしてるんですよ」なんてハナシをしたいわけでもなく。

「それを作曲した本人が聴いて是としてくれるのか」ということが常にアタマにあって。
クリエイターに対しての裏切りになるんじゃないかと。
「オレならこうする」ってだけでやっちゃっていい部分じゃない気がずっとしてました。
ええ、過去形。
ものすごく長い間、正直言うとメンタルを病むほど悩んでいたけれど。

ここ数年はそれを気にするより「いかに作曲した本人が聴いても気付かないぐらいの自然さで改造できるか」ってことにシフトするようにしてます。
全然気にならないって訳じゃなく、「この曲を求めてる人が使える尺にする」ことのほうに精神的なウェイトを持っていけるようになったというか。
「作曲した本人に代わって必要としている人の要望に応える」という若干おこがましい精神性も含んで。

だからね、どんな曲でもお好みの尺に整えますよ。
クリエイターへの裏切りにならないよう、クオリティを保てるように精進も怠りません。

あくまでそれはお仕事でね(笑)



"惑星タントラ [Vocal:齋藤飛鳥]" by MONDO GROSSO



by radi-spa.horie | 2017-07-07 00:46 | 仕事 | Comments(0)